こちらは、2022年1月4日に公開された以下のドキュメントを翻訳したものとなります。
PlayCanvas Review of 2021
皆様、あけましておめでとうございます!
2021年、PlayCanvasは10周年を迎えました。この間にWebGLがWebグラフィックの世界標準となり、主要なWebブラウザに実装されるようになりました。そして、弊社はWebGLを使ったコンテンツ制作をより簡単に、楽しくするためのお手伝いをしています。
2021年は間違いなく、弊社にとってこれまでで最も生産的な年でした。プラットフォームは進化を続け、多くの新機能とパフォーマンスの向上を実現しました。そのハイライトをいくつか紹介します:
ツールのアップデート
ご存知のとおり、PlayCanvasユーザーの多くはエディタでアプリケーションを構築しています。エディタ関連で昨年最大のトピックは、新しいエディタAPI のリリースです。このAPIにより、エディタのフロントエンドで特定の操作を自動化できるようになりました。これは最初のステップにすぎません。2022年には、本格的なプラグインシステムの構築を目指してエディタAPIをさらに充実させる予定です。どうぞご期待ください。
コードエディタも昨年、CodeMirrorからVisual Studio Codeを動作させるテキストエディタであるMonacoに切り替わり、大きなアップグレードとなりました。すでにVS Codeをお使いの方は、新しいコードエディタを快適にご利用いただけると思います。大きなテキストファイルを扱う際のパフォーマンスの向上、より優れたコード補完機能、強力なコマンドパレット、さらにはテーマ選択も実現されました。
アニメーションツールについても、昨年のアニメーションステートグラフ・エディタの導入によって大幅に強化されました。
これによりシンプルなアニメーションサイクルから高度なロコモーションシステムまで、あらゆるものをオーサリングできるようになりました。インディーディベロッパーのCem Demir氏が、近日発売予定のマルチプレイヤーサバイバルゲームで、この新しいアニメーションシステムをどのように使用しているかを以下でご覧ください:
👀 !? pic.twitter.com/QD2CDyAzhT
— Cem (@cemdemir) December 11, 2021
エディタへのフロントエンドのアップデートばかりで、バックエンドがおろそかになったとは思わないでください!2021年を通して、弊社は信頼性や拡張性を向上しレスポンスを改善するため、プラットフォームのバックエンドを集中的に再構築してきました。現時点で世界中のユーザーがエディタと起動ページのロード時間を最大50%高速化できています。さらに、アセット関連のジョブがさらに高速で完了するようになり、待ち時間が減少してユーザーはビルドに集中できるようになりました。
エディタ以外では、昨年リリースされたすばらしいツールの1つにエンジンサンプルブラウザがあります。これは、PlayCanvasエンジンAPIを習得し実験するためのコーディングプレイグラウンドです。もちろんGitHubで完全にオープンソース化されています。
昨年夏、弊社はNodeベースの新しいシェーダーエディタを公開しました。これは、PlayCanvasアプリケーションにカスタムのシェーダーを構築するための新たな方法です。
数ヶ月後にはクローズドベータ版が終了しますので、オープンベータ版を公開後にツールを完全にオープンソース化する予定です。
PlayCanvasビューワーは、オープンソースの3Dモデルビューワーツールで2021年にいくつかの重要な改良がおこなわれました。まず、glTF ァイルだけでなくVOXファイル(MagicaVoxel等のツールで構築されたボクセルベースのシーン用)も読み込めるようになりました。また、スケルトンの視覚化やスカイボックスの処理も改善されました。ぜひGitHubでご確認ください!
グラフィックエンジンの強化
率直に言って、誰もが美しくレンダリングされたピクセルを好みます。では、PlayCanvasのグラフィック エンジンは昨年どのように進化したでしょうか?確認してみましょう。まず、長方形・円・球などの物理的な形状を適用したエリアライトが実装されました。その後、クラスター化された照明パイプラインがリリースされました。このパイプラインによって、シーンに配置できるダイナミックライトの数を実際に増やせるようになりました。また、これら2つの機能を組み合わせることで、新しいエンジンサンプルが示すとおりエンジンはクラスター化されたエリアライトを処理できるようになりました。
既存の照明システムがクラスター化された照明に完全にリプレースされるのは、ベータテストを十分に実施した後の2022年初頭になる見込みです。
PlayCanvasのランタイムライトマッパーは、昨年大幅にアップグレードしました。これまでは、ライトマップに直接光をベイクすることしかできず、シーンのロードおよびレンダリング時間の短縮は可能なものの、直接光だけでは高品質のビジュアルを提供することはできませんでした。現在では、ソフトシャドウの生成とアンビエントオクルージョンのベイクが可能です。新しいエンジンサンプルで、これらのすばらしい新機能をご確認ください:
最後に、カスケードシャドウマップを実装し大規模環境での影のクオリティを飛躍的に向上させました。そのメリットはすぐにコミュニティで紹介されました:
Testing the dev branch that adds support for cascaded shadow mapping in the @playcanvas engine, couldn't resist😇! Many thanks to @ValigurskyM for this excellent PR.#webgl #shaders #gamedev #indiedev pic.twitter.com/cczf16UzYt
— Leonidas (@PlayingInCanvas) May 24, 2021
オープンソースが一番!
PlayCanvasチームは、オープンソースを強く支持しています。エンジンランタイムは、2014年6月にオープンソース化されました。現在では6,932のスター、1,095のフォーク、96人の個人貢献者(皆様のすばらしい貢献に感謝します)を獲得しています。端的に言って、すぐれたオープンソースコミュニティなしには現在のPlayCanvasの姿はありませんでした。
2021 年には、新規および更新OSSプロジェクトが大幅に増加し、オープンソースの使命がより一層強まりました:
- エディタAPI – エディタのコア機能
- PCUIとPCUIグラフ – 強力なブラウザベースツールを構築するためのフロントエンドフレームワーク
- オブザーバー – ウェブアプリケーション開発用のオブザーバーパターンの実装
- PlayCanvasビューワー – 高速かつ軽量な3Dモデルビューワー
上記のとおり、2022年には新たにシェーダーエディターがこのリストに加わる予定です。そして、弊社は今後もさらに多くの技術のオープンソース化を続けていきます。
2021年に作成されたコンテンツの紹介
弊社はコミュニティが作成したすばらしいコンテンツに感銘を受けています。ブラウザゲームやメッセンジャーゲーム、3Dコンフィギュレータ、VRおよびARアプリ、プレイアブル広告等がその例です。最高のサンプルを紹介するため、最新のPlayCanvasショーケース動画を公開しました:
2021年に作成されたすばらしいコンテンツの一例はこちらです:
- Snap Games – Hole.ioや AquaparkをリリースしたSnapchatのHTML5ゲームプラットフォーム
- Bullet Bonanza – Kilooが作成した熱狂的なオンラインマルチプレイゲーム
- Fjällräven Kånken – Animechが作成したバックパックコンフィギュレータ
- The Crypt – Kuvaが作成したNFTギャラリー
PlayCanvasで開発された作品の詳細はこちらのリストで確認ください。
2022年の予定は?
2022年のロードマップについては、すでに一部をお伝えしています。シェーダーエディタは今後3か月以内にリリースされる見込みです。エディタのプラグインシステムは、今年の後半に実装の予定です。その他はどうでしょうか?
PlayCanvasのglTFサポートは、今後も進化し続けます。残りのglTF 2.0拡張はすべて実装され、ついにglTFエクスポーター(エディターから呼び出すことができます)をリリースする予定です。
WebGLの後継として登場するWebGPUも、2022年の弊社の視野に入っています。ウェブ上での3Dレンダリングの限界に挑戦し続ける弊社にとって、WebGPUは今後の計画の重要な部分です。今年中にWebGPUサポートの初期概念実証をリリースする見込みです。その結果が出たらすぐに、皆様にお知らせします。
最後にPlayCanvasの今後について、「ビジュアル デバッガ」というものをリリース予定である点をお知らせしておきます。このツールは、エディタの起動ページで実行されます。アプリの一時停止、シングルステップ、階層やエンティティのプロパティを確認し、リアルタイムに編集することも可能です。
さらに多くの点を計画中ですので、数週間以内に2022年の完全な公開ロードマップを発表します。PlayCanvasの機能についてご要望がありましたら、こちらにご記入ください。
それでは皆様、素敵な2022年をお過ごしください!クリエイティビティにあふれたすばらしい1年にしましょう。
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