PlayCanvas運営事務局では、PlayCanvasサービス提供元であるSnap社にインタビューをおこないました。今回インタビューにお答えいただいたのは、PlayCanasフォーラムでもお馴染みのPlayCanvasチームのyaustarさんです。 PlayCanvasの開発体制や、製品としての強み、PlayCanvasを使いこなすにはどのような勉強をしたらよいのか等、様々な興味深い質問をしましたので、ぜひご覧ください!
Q1. 自己紹介(お名前 / 職務等 / できれば簡単な経歴)をお願いします。
こんにちは!私の名前はSteven Yauです。
PlayCanvasのパートナーリレーションズ・マネージャーを務めています。私の主な役割は、弊社製品についてユーザーの皆様に最高の体験を提供することです。
Steven Yauさん(yaustarさん)
具体的には技術的なサポートや問題の解決、コミュニティとのやりとりや管理、可能な限りドキュメントやサンプルを提供する、といった業務をおこなっています。
PlayCanvasフォーラム - yaustarさんは技術的な質問の回答や、
アップデートの告知など幅広くコミュニティへのサポートを行っている。
PlayCanvasに入社する前は、複数のインタラクティブメディア企業(多くはゲーム関連)に勤務していました。たとえばKing、Playfish、Electronic Artsなどです。この他スロットマシンや、広告制作会社でのVR/ARブランド体験にも従事したことがあります!過去にはTwitchでゲーム開発の様子をストリーミングもしていました。
Q2. PlayCanvasはどのような開発体制になっているのでしょうか?エンジンとエディター部分の開発者はそれぞれ同じ方が担当していますか?可能でしたら人数や、エンジンとエディター部分それぞれの人数比率などを教えてください。
PlayCanvasチームは比較的少人数で効率的です。私と同じように各メンバーは、弊社の複数製品についてコア業務を担当しています。
チーム全員が幅広いスキルと経験を持っているため、必要に応じて複数の分野で作業をおこなえます。
例を紹介しましょう。私はバグを修正し、エンジンやエディターに機能を追加しています。
他のメンバーであるGusta (グラフィックのスペシャリストです) も、エディターのマテリアルインスペクターに彼が追加した新しいプロパティへのサポートを追加しています。
このような作業がチーム全員で繰り返されるため、バグ修正やフィードバックへの回答を迅速におこなうことができるのです。
コア業務の比率としては、エンジンとプラットフォームの残りの部分(エディター、インフラストラクチャ等)について50%ずつとなります。
Q3. WebGL系のライブラリはいくつかありますが、PlayCanvasはオープンソースのゲームエンジンと、クローズドなエディターでできています。オープンソースのプロジェクトでこうしてマネタイズまでできているのはとても珍しい例だと思いました。
サービス提供元として、PlayCanvasの強みは何だとお考えでしょうか?
私(インタビュアー)は、PlayCanvasの強みの1つは充実したサポートだと思っています。
以前も、日本のユーザーからも、サービス提供元のフォーラムで第一線のプレイヤー(主にSteven)が気軽に返答をくれる点がとても良いというご意見も頂いております。
嬉しいお言葉をありがとうございます!
おっしゃったとおり、サポートと顧客志向のチームは私たちの強みの1つです。
私は主に対外的な業務を担当していますが、社内チームから多くのサポートをもらっています。このためお客様に非常にクオリティの高いサポートを提供できています。
私たちのもう1つの強みは製品です。強力なエディターやアセットパイプライン、常に向上しているエンジン、そして可能な限りオープンソースのスタックを作成している点が挙げられます。
エンジンをオープンソース化しているので、開発の進捗がクローズな環境ではなく常に公開されています。また公開されているということは、開発者がエンジンコアまでデバッグでき、内部的にどのような処理がおこなわれているのかをよく理解できることを意味します。
これによってバグ修正から、エリアライトやUIテキストのマークアップタグなどの完全に新しい機能に至るまで、オープンソースコミュニティからエンジンへの素晴らしい貢献がありました。
エディターは(まだ!)オープンソースではありませんが、私たちは意図的にソースマップを利用可能にしました。結果的に、これはコミュニティからの素晴らしいツールへと発展しました。たとえばLeonidasのUranus Toolsや、redkaのノードベースの地形エディターなどです。
スタックをさらにオープンソース化する予定なので、今後がとても楽しみです!
Q4. 今まで見たPlayCanvas製のプロジェクトで良かったものはありますでしょうか(一番良かったプロジェクトや心に残っているプロジェクト)? また、その理由を教えてください。
とても難しい質問ですね!
Made with PlayCanvasショーケースをまとめた際に、数多くの素晴らしいプロジェクトを見たので、選ぶのが難しいです。
以下に、私のお気に入りを紹介します:
- Coca-ColaとBLEACHのWeb AR体験:BLEACHの長年のファンなので、このプロジェクトを見ると思わずにっこりしてしまいます。
- Sherpa WorldとTribals.io:通常のブラウザ体験は小規模にまとまったものが多いですが、これらは正反対で大規模かつ複雑なため素晴らしいです。
- Kiloo.comのFPSゲーム:Kilooの最新ゲーム Warbandsはコントロールやグラフィック、体験の点で非常にすぐれています。
- Fjällrävan Kånken Meバッグコンフィギュレーター:このプロジェクトでは、Animechがバッグの素晴らしいフォトリアリズムレンダリングをおこないました。
- Polaris RZR自動車コンフィギュレーター:こちらは非常に古いプロジェクトですが、現在でもアップデートされ続けています。長い年月が経っていますが、今でもとても印象的です。
Q5. PlayCanvasのコミュニティを見ていると、元々ゲームから様々な用途に利用され始めていると思います。利用されているシーンの変化などを感じますでしょうか?
ここ数年間でシフトがありました。
特にEコマース分野でのユーザーや企業が増加しています。これは製品を非常に高いクオリティで表示したいという、Eコマースでのニーズにもとづいています。
またデバイスの性能が向上し、企業はユーザーの負担が少ないブラウザでの体験提供を求めるようになりました。
これらのニーズに対応することで、Eコマース以外の業界にもPlayCanvasのメリットがもたらされました。特にゲーム業界では、数年間でグラフィックの品質が向上しています。
作成されるワールドはより大きくリッチで高性能になり、ウェブでの体験の共有でブラウザがいかに役立つかが示されました。
WebXRやWebGPUなどの技術がさらに普及し、デバイスやブラウザを問わず利用できるようになるにつれて今後数年間でブラウザベースのコンテンツへの移行は加速すると思います。特にARの分野で、企業はより優れたコンテンツや体験を作成したいと考えているはずです。
Q6. PlayCanvasを使い始める際には、どこから勉強をしたら良いのでしょうか?(JavaScriptでの設計や3DCG / ゲーム / シェーダー / もしかしたらバックエンドやデータベース連携)など多岐に渡ります。良いWebGL (PlayCanvas) の開発者になるためには、どのようなパスで勉強をするのが良いのでしょうか?
PlayCanvasを使用するには、以下をおすすめします:
- 核となるプログラミング概念の習得。JavaScriptである必要はなく、Khan AcademyやfreeCodeCampなどのリソースも役立ちます。
- デバッグや、他の人が書いたコードを読む方法の習得。弊社のOffice Hours動画にあるように、すべての主要なブラウザには問題解決に役立つ強力なデバッグツールがあります。
- ベクトル、行列、四元数などの基本的な3D計算の理解。FreyaのYouTubeシリーズが、これらの概念の習得に役立ちます。
- 3Dグラフィックが画面にどのようにレンダリングされるかの理解。こちらについては、CrashCourseが素晴らしい動画を公開していますのでぜひご覧ください。
- おまけ:JavaScriptの徹底的な習得。厳密には必須ではありませんが、JavaScriptの動作の仕方や、よく使用されるパターンの理解に役立ちます。You Don't Know JSは少し古いですが、これらの分野をカバーしています。
その他の項目は、プロジェクトごとに異なるのでお任せします。
ただし、上記を習得すれば今後も発展できる基礎を築けます。
Q7. エディターにGLBのモデルをインポート出来るようにしたいという声が多くあります。実装する予定はありますか?
こちらは、現在開発中です!
Q8. 日本の開発者に対してどんなイメージを持っていますか?開発元が対応している開発者と日本の開発者で何か違いはありますか?
私は世界中の開発者と仕事をしていますので、個人的には相手に特定のイメージを持たず、誰に対しても同じように対応しています。
ただし英語が全員の母国語ではない点は時々考慮し、回答を言い換えたり可能であれば画像やGIF、動画を使用してさらに詳細に伝えたりしています。
国や地域ごとの違いはおもに、作品とビジュアルスタイルに表れています。たとえばVTuberは東アジアでより人気があるため、使用するファイル形式やモデルについて多くの質問が寄せられます。
Q9. 来年の大型/新機能を、可能な範囲で教えてください。
近いうちに、公開済みのGitHubリポジトリとより緊密に統合された公式ロードマップをリリースする予定です。この他にも楽しみな作業を予定しています!
Q10. 日本のユーザーに向けて、メッセージをお願いします。
PlayCanvasのご利用と継続的なご支援に、PlayCanvasチームを代表して感謝いたします!
皆様にはすばらしいプロジェクトを作成いただいていますので、どのような作業をされているのかぜひ詳しく知りたいです。@playcanvas (フィードを埋め尽くしてください!) へのツイートやフォーラムへの投稿、またはGMOへのご連絡をお待ちしています!
また、これまでの長年にわたるGMOの功績に感謝し、今後も引き続き協力していくことを楽しみにしています。
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